宅地建物取引業者の事務所について

東京都府中市のなかみち行政書士事務所 行政書士の中道 健です。今回は、宅建業免許申請の「事務所」について、解説させていただきます。これから宅建業免許を取得しようとお考えの方や、宅建業免許をすでに取得されていて更新等の際に改めて要件を確認しておこうとお考えの方等にお読みいただき、ご参考にしていただけると幸いです。

宅地建物取引業者の事務所について

宅地建物取引業法(以下「宅建業法」という。)上、事務所として定められているのは、以下の2つです。

①本店又は支店

  • 本店又は支店として履歴事項全部証明書に登記されたもの
  • 本店で宅建業を行わなくても、支店で宅建業を営むと、本店も宅建業の「事務所」となります。
  • 支店の登記があっても、この支店において宅建業を行わない場合は、「事務所」としては取り扱いません。

②上記本店又は支店のほか、「継続的に業務を行うことができる施設を有する場所」で、宅建業に係る契約を締結する権限を有する使用人を置くもの

  •  「継続的に業務を行うことができる施設を有する場所」とは、物理的にも社会通念上事務所と認識される程度の形態を備えていることが必要と考えられています。
  • このような場所は、実体上は支店に類似するものと言えるので、支店としての名称を付していなくても、従たる事務所として取り扱われます。
  • テント張りの案内所など、移動の容易な施設等は事務所としては認められません。
  • 事務所内には、対面可能な応接セット(執務場所と明確に区別されていること)、従事する人数分の机・椅子を含む執務場所、固定電話(開通済)の設置が必要となります。

事務所の形態について

宅建業を行う事務所として認められるためには、宅建業の業務を継続的に行える機能を持ち、宅建業を行う事務所として認識される程度の独立した形態を備えていることが必要です。また、事務所として使用する権原を有していることが必要となります。①一つの事務所を他の業者等と使用している場合や、②住宅の一部を事務所とする場合には、免許申請の前に事前に相談する等、慎重な対応が必要となります。

①一つの事務所を他の業者等と使用している場合

  • 入口部分から、他の事務所内を通らずに、申請者の事務所に行けること
  • 他の事務所が、申請者の事務所内を通らずに行ける場所にあること
  • 他業者と固定式 のパーテーション (180cm 程度以上)などで明確に区切られていること
  • 事務所としての形態が整えられ、かつ、事務所としてのみ使用していること

②住宅の一部を事務所とする場合

  • 玄関部分から事務所に他の部屋を通らずに行けること
  • 事務所を通らずに居住部分に入ることができること
  • 生活部分と壁などで明確に区切られていること
  • 事務所としての形態が整えられ、かつ、事務所としてのみ使用していること

昨今、利用者の増えているレンタルオフィスを宅建業行う事務所として申請を行うことも、上記のような継続利用機能があり、独立性を確保することができるものであれば、宅建業法上の事務所として利用することも可能なものと思われますが、最終的には、行政の判断に委ねることになるので、やはり事前の確認をしたうえで手続を進めるのが賢明かと思います。

おわりに

最後まで、お読みいただきありがとうございます。

本記事のご不明な点や、実際の宅建業免許の取得や、更新手続についてのご質問、お問い合わせ等ございましたら、以下のお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。

投稿者プロフィール

中道健