車庫証明(自動車保管場所証明)について

東京都府中市のなかみち行政書士事務所 行政書士の中道 健です。今回は、自動車を購入したり、お引越し等によって自動車の保管場所(車庫)が変更になった場合に必要になる車庫証明書(自動車保管場所証明書)について解説させていただきます。自動車の購入をご検討中の方や、お引越しをしてこれまでの保管場所(車庫)が変更になった方等にご参考にしていただけると幸いです。

車庫証明書が必要になる理由

まずはじめに、車庫証明書が必要になる理由です。「自動車の保管場所の確保等に関する法律」という法律があり、その第1条に次のように規定されています。

(目的)
第一条 この法律は、自動車の保有者等に自動車の保管場所を確保し、道路を自動車の保管場所として使用しないよう義務づけるとともに、自動車の駐車に関する規制を強化することにより、道路使用の適正化、道路における危険の防止及び道路交通の円滑化を図ることを目的とする。

道路以外の場所に保管場所(車庫)を確保させ、路上駐車をなくすことにより、道路が道路として適正に使用されることにより、路上駐車に起因する事故を防いだり、道路交通がスムーズに流れることを目的としており、自動車の保管場所(車庫)がきちんと確保できていることを証明するものが自動車保管場所証明書です。

自動車の保管場所の要件

次に、自動車の保管場所として認められるには、以下の要件を満たしている必要があります。

自動車保管場所の要件

  • 契約駐車場、自宅車庫、空き地等道路以外の場所であること
  • 使用の本拠の位置から2キロメートルを超えないこと
  • 自動車が通行できる道路から、支障なく出入させ、かつ、自動車全体を収容できること
  • 保管場所として使用する権限を有していること

以上の要件を満たしていることを、車庫証明の申請を保管場所を管轄する警察署に行う際に添付する書面(所在図、配置図、自認書、保管場所使用承諾証明書等)にて明らかにして、証明書を交付してもらうようになります。車庫証明の申請手続の詳細は、別の機会に改めて解説させていただきます。

「使用の本拠の位置」というのは、自動車の保有者(使用者)の生活又は事業の拠点のことです。ご自宅から少し離れた場所に駐車場を借りているような場合に、お住まいと駐車場の距離が2キロメートルを超えてはならないということになっています。この「2キロメートル」は直線距離で計測することになります。現実問題としては、お住まいからできるだけ近いところに駐車場を借りて利用することが多いと思いますが、法律制定当初には、駐車場が近くにない場合も想定して「2キロメートル」という規定になったようです。

適用除外地域について

東京都内において「使用の本拠の位置」が、以下の適用除外地域に該当する場合は、申請及び届出の必要がないこととされています。

(1)普通自動車

桧原村、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、青ヶ島村、小笠原村

(2)軽自動車

福生市、武蔵村山市、羽村市、あきる野市、瑞穂町、日の出町、奥多摩町、大島町、八丈島町、桧原村、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、青ヶ島村、小笠原村

車庫証明の対象となる自動車と各種手続

次に、取得する自動車の種類によって必要となる手続が異なりますので、その点について解説させていただきます。

取得する又は保有している自動車が、普通自動車か軽自動車かによって、必要となる手続が異なります。

(1)普通自動車の場合→「保管場所証明申請」又は「保管場所届出」が必要となります。

手続が必要となるとき
保管場所証明申請手続普通自動車(新車、中古車)を保有するとき(新規登録)
所有者を変更したとき(移転登録)
住所、事業所の所在地等を変更したとき(変更登録)
保管場所届出手続所有者、住所等に変更がなく保管場所(車庫)を変更したとき

保管場所証明手続は、運輸支局において、車両登録時等の前提として必要となるものです。

保管場所届出手続は、所有者、住所等に変更はないが、これまで利用していた駐車場から別の場所に駐車場を変更した場合に必要となる手続です。

(2)軽自動車の場合→「保管場所届出」が必要となります。

手続が必要となるとき
保管場所届出手続軽自動車(新車・中古車)を保有したとき
保管場所(車庫)を変更したとき
適用除外地域から適用地域に転居したとき

軽自動車の場合は、普通自動車と異なり「保管場所証明申請」ではなく「保管場所届出」で足りるとする点に特徴があります。

「申請」と「届出」については、証明書を発行する場合に行政に裁量の余地があるかどうかの違いがあります。「申請」の場合は、保管場所の要件を満たしていないと警察署が判断した場合は、「保管場所証明書(車庫証明)」の交付がされない場合もありますが、「届出」の場合は、「この駐車場を保管場所にしました」ということを届出をすれば、警察署の方で受付をして終わりという手続になります。

軽自動車の「保管場所届出」については、普通自動車と異なり、自動車検査証やナンバーを交付を受けた後に届出を行えば足りるというのも特徴の一つです。

おわりに

最後まで、お読みいただきありがとうございます。

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中道健