宅地建物取引業免許について

東京都府中市のなかみち行政書士事務所 行政書士の中道 健です。今回は、宅建業免許取得についての要件等を解説させていただきます。

これから宅建業免許を取得しようとお考えの方や、宅建業免許をすでに取得されていて更新等の際に改めて要件を確認しておこうとお考えの方等にお読みいただき、ご参考にしていただけると幸いです。

宅地建物取引業とは

 宅地建物取引業(以下「宅建業」といいます。)とは、宅地又は建物について次に掲げる行為を業として行うものをいいます。
 ① 宅地又は建物について自ら売買又は交換すること。
 ② 宅地又は建物について他人が売買、交換又は貸借するにつき、その代理若しくは媒介すること。  

 上記内容の取引を、不特定多数の人を相手方として、反復又は継続して行い、社会通念上、事業の遂行と見ることができる程度の 業を行う場合、宅建 業法に基づく免許が必要になります。                            (*不動産業であっても、自己所有物件の不動産賃貸・管理業は宅建業には該当しません。

宅建業免許の区分

 宅建業を営もうとする方は、宅建業法の規定により、国土交通大臣又は都道府県知事の免許を受けることが必要です。2つ以上の都道府県の区域内に事務所を設置してその事業を営もうとする場合は、国土交通大臣免許が必要となり、1つの都道府県の区域内に事務所を設置してその事業を営もうとする場合は、都道府県知事免許が必要です。

 事務所を設置する場所により、知事免許と大臣免許とに区分されますが、免許の効力に差異はなく、全国どの地域においても宅建業を営むことはできます。

宅建業免許の有効期間

宅建業の免許の有効期間は5年間 です 。有効期間の満了後、引き続き宅建業を営もうとする方は、その有効期間が満了する日の90日前から30日前までの間に免許の更新手続をすることが必要です。更新の手続を怠ると免許が失効となります。更新の手続をしないで宅建業を営むと、宅建業法違反となり、罰則が科されます。

宅建業免許を受けるための要件

宅建業の免許を受けるには、一定の要件があります。「欠格事由に該当しないこと」、「事務所の形態」、「専任の取引士」等について審査が行われ、申請者や法人の役員等が欠格事由に該当する場合や、宅建業を行うのに適さない事務所形態であったり、事務所等に一定数以上の専任の取引士を設置できていない場合は、宅建業免許を受けることができません。以下で、それぞれの要件等についてご確認ください。

宅建業免許の欠格事由について

免許を受けようとする方が、次の「欠格事由」の一つに該当する場合は、免許の申請をしても当該免許の付与を拒否されます。

1.免許申請の手続関係

  • 免許申請書若しくはその添付書類の中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けている場合

2.申請前5年以内に次のいずれかに該当した者

  • 免許不正取得、情状が特に重い不正不当行為又は業務停止処分違反をして免許を取り消された場合
  • 免許不正取得、情状が特に重い不正不当行為又は業務停止処分違反をした疑いがあるとして免許取消処分の聴聞の公示をされた後、廃業等の届出を行った場合
  • 禁錮以上の刑又は宅地建物取引業法違反等により罰金の刑に処せられた場合
  • 暴力団の構成員等である場合
  • 免許の申請前5年以内に宅地建物取引業に関して不正又は著しく不当な行為をした場合

3.その他

  • 破産手続の開始の決定を受けて復権を得ない場合
  • 宅地建物取引業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな場合
  • 心身の故障により宅地建物取引業を適正に営むことができない場合
  • 事務所に専任の取引士を設置していない場合

事務所の形態について

宅建業を行うにあたり事務所のもつ役割は大きく、それに伴い事務所の所在が免許権者(国土交通大臣又は都道府県知事)を定める要素となっていたり、専任の取引士の設置が義務付けられています。さらに、事務所の数に応じて営業保証金を供託することが定められていたりします。

宅建業を行う事務所として、物理的にも宅建業の業務を継続的に行える機能を持ち、社会通念上も事務所として認識される程度の独立した形態を備えていることが必要です。また、事務所として使用する権原を有していることが必要です。このため、一般の戸建て住宅、又は、マンション等の集合住宅の一室(一部)を事務所として使用すること、一つの事務所を他の法人等と使用すること、仮設の建築物を事務所とすること等は原則として認められておりません。

専任の取引士について

宅地建物取引士(以下「取引士」という。)は、宅地建物取引士資格試験に合格後、取引士資格登録をし、取引士証の交付を受けている方をいいます(取引士証の有効期間は5年間です。取引士証の有効期限が切れている場合は、取引士として認められません。)。

宅建業法では、宅建業者にその事務所等に一定数以上の成年者である専任の取引士を設置することを義務付けています。

この「一定数」は、国土交通省令で定められており、一つの事務所において「業務に従事する者」5名に1名以上の割合とし、案内所等については少なくとも1名以上の専任の取引士の設置を義務付けています。
専任の取引士の数が不足した場合は、2週間以内に補充等必要な措置をとらなければなりません。

専任の取引士としては ①当該事務所に常勤して、②専ら宅建業の業務に従事することが必要です。

  •  「専任」に当たらない例として①他の法人の代表取締役、代表者又は常勤役員を兼任している又は他の個人業を営んでいたり、会社員、公務員のように他の職業に従事している場合、②社会通念上における営業  時間に、宅建業者の事務所に勤務することができない状態にある場合、③社会通念上、通常の通勤が可能であるとみなせない場所に住んでいる場合等は、専任の取引士に就任することはできません。
  • 申請会社の監査役が、当該申請会社の専任の取引士を兼任することはできません。

おわりに

最後まで、お読みいただきありがとうございます。

本記事のご不明な点や、実際の宅建業免許の取得や、更新手続についてのご質問、お問い合わせ等ございましたら、以下のお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。

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中道健